子どもの教育保障

鶴見区には日本生まれ日本育ちの子どもや、来日したばかりの子どもたちがいます。
私たちは学習に加えて、「楽しみ」「経験」「居場所感」も含めて、子どもたちに提供しています。そこで、フリースクール、放課後学習支援、進学ガイダンスを行っています。
- ABCフリースクール
- 放課後学習支援 つるみ~にょ
- 高校進学、大学進学・シャリアガイダンス
来日したての子どもの課題
中学校を卒業してから来日すると、日本では義務教育が終わっているため、中学校に編入することができません。
つまり高校へ入学をするしかありませんが、やはり日本語や国によってカリキュラムも違うことから高校入試で合格することは簡単ではありません。
日本人の高校進学率が98.8%の一方で、外国人の子どもの高校進学率が約6割という調査結果もあります。
日本で生まれ育った子どもの課題
たとえ日常会話ができていたとしても、勉強するための「学習言語」を身につけているとは限りません。家庭であまり日本語が使われていない場合、抽象的な表現などを身につける機会が少ないのです。
また仕事の忙しさや日本語能力の不足から、家庭学習で保護者の助けを得ることが難しい子どもも多くいます。
その結果、授業について行くことが難しくなってしまいます。また、家との文化の違いにより、学校で居場所を感じることができなかったり、クラスメイトから容姿の違い・外国に対する偏見でいじめにあってしまうことにより、つながりのある国に自信を持てなかったり、学校に通うことがしんどくなったりする子どももいます。
共通の課題
彼らに共通する課題は、身近にいる「お兄さん、お姉さん」「おとな」が限定的であり、自分の将来を想像するのにはロールモデルが少ないということです。
高校卒業後に進学しなかったり、非正規の仕事をしていたり、という人が多く、そのほかの将来を身近に感じることができず、選択肢の中にすら入らないことが多くあります。
多くの選択肢の中から選ぶのか、数少ない選択肢から選ぶのかでは将来の自由度・可能性が変わっていきます。
フリースクール



中学校を卒業してから来日した子や、学校になじめない子が通学するフリースクール。
日本語を学び、高校進学に向けた勉強ができるような場所を作りました。
教室にはブラジル、中国、フィリピン、ペルーなどの国から来た子どもたちが集まっています。彼らは今まで一緒にいた家族や友人のもとを離れ、親に呼ばれて来日しています。
言葉も分からず、不安やさみしさを抱えていたりすることもありますが、フリースクールは同じ出身地、似た環境の子ども同士で話せる場にもなっています。
また、学校に通いづらい日本生まれ日本育ちの子どもも通っています。来日したての子どもと話したり、勉強を手伝ったりすることで、役に立てる経験ができる場になっています。
フリースクールでは、日本の社会を知るきっかけとしての社会見学や近隣高校・大学との交流会や、思いっきり体を動かせるスポーツデイも開催しています。
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つるみ~にょ



週に1回、小学校の図書室で放課後学習支援教室を開催しています。参加する子どもたちは外国につながりのある児童たちで、毎年およそ40名ほどいます。
ここでは学校から出された宿題を終わらせます。漢字や算数のプリントだけでなく、音読や九九の暗唱をしている児童も多くいます。
つるみ~にょができてから、宿題の提出率が上がった子どももいます。似たバックグラウンドの子どもが集まることで、学校の中のもうひとつの居場所にもなっています。
また、地元の人や大学生がスタッフとなり、普段のコミュニティにいない「おとな」と出会い、色々なお話ができる場所になっています。
また、宿題がたくさん出る夏休みには夏休み宿題教室を開催し、子どもたちの近況を聞きながらにぎやかに宿題を終わらせられるように頑張っています。
クリスマスにはクラフト工作などを行い、子どもたちが楽しみにしている恒例行事となっています。
高校進学・大学進学&キャリアガイダンス



高校・大学の進学システムは国によって異なります。そこで、それぞれの進学ガイダンスを開催し、日本の教育制度や受験方法、お金のことなどについて数か国語の通訳付きで説明します。
子どもだけで考えるのではなく、親だけが頑張るのではなく、家族で子どもの進学を考える機会になるように、基本的には親子で参加してもらっています。
プログラムは、一方的に情報提供をするのではなく、ロールモデルとして現役学生へのインタビューや外国につながる社会人の話などをプログラムに盛り込み、子どもたちが自分が将来どうしたいのかについて想像しやすいようにしています。
また、学校のブースを設置したり、ガイダンス後に相談できる時間を設けたりして、“話ができるガイダンス”を行っています。


