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日系人の相談役を務めるブラジル移民3世

 写真:写真説明
日系人の相談役を務めるブラジル移民3世 橋本 秀吉さん(43)
日系ブラジル人の歴史を知ってもらおうと活動するNPO法人「ABCジャパン」の理事長・橋本秀吉さん

1989年7月、ブラジル南部・パラナ州出身の日系3世の青年が、喜び勇んで成田空港に降り立った。

  「両親や祖父母から聞いたあこがれの国。人々はみな礼儀正しく、親切なはず」。だが、この期待はあっけなく裏切られる。

 仕事先では、日本語がたどたどしいだけでバカにされた。「自分の努力が足りない」と思えば、聞き流せたが、どうしても許せなかったのは、移民の歴史が理解されていないことだった。

 自分のルーツを探そうと九州の親類を訪ねた。「祖国を捨てた人間が今さら何をしに来た! 財産目当てか」と冷たくあしらわれた。移民は、国が奨励したのに……。

 それから18年。NPO法人「ABCジャパン」の橋本秀吉理事長(43)は、JR鶴見駅近くの雑居ビルの一室で、日系ブラジル人からかかってくる電話の対応に追われていた。自身の苦い経験と、日系人らが苦労する姿を見かね、昨年4月、相談にのったり、日系人の歴史を紹介したりするNPOを設立した。

寄せられる相談は、「人材派遣会社をクビになった」など、雇用に関するものがほとんど。最近は、景気が良くなり、以前ほど多いわけではない。ただ、「相談は少ないが、子どもの置かれている環境の方が深刻だ」と話す。

 学校では、日本語が下手という理由だけでいじめられる。登校拒否になり、さらにしゃべれなくなる。就職口が見つからず、犯罪に走るという悪循環だ。

 日系人に門戸を開きながら、子弟向けの語学教育の手当ては不十分。移民を奨励しながら、ジャングルに放り出しただけのかつての政府の姿と重なる。「きちんと言葉や文化を教え、日本人としての誇りを持たせてほしいだけ」

 ただ、負の側面を味わった今でも、「日本の伝統はすばらしい」と思っている。通っている静岡県の居合道の道場では、国内の弟子は20人だが、ブラジルには200人の弟子がいた。都内の武術師範の生徒は、日本人は100人だが外国人も1万人いる。

 「文化を守ろうとする人ほどつらい思いをしている。外国人の方がそういう人たちを評価している」

 だからこそ、その良さに気づかない日本人にもどかしい思いが募る。

 来年は、日本人のブラジル移民が始まって100年、日系人が労働力として日本に来始めてから20年という節目の年にあたる。この機会に両国の深い関係や歴史を知ってもらおうと、横浜市中区の大さん橋で「百年祭」を行うための準備をしている。「単なるイベントで終わらせたくない」と期待を寄せる。

 「日本はまだまだ閉鎖的。好印象を持っている日系人さえ、うまく受け入れられないようでは、国際化などおぼつかない」。日本に注ぐ視線は厳しい。

(十時武士)

Yomiuri Shimbun

 

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